第28 回栃木県ペインクリニック研究会
会長 : 恵川宏敏先生(恵川いたみと漢方のクリニック)
2022年10月27日 (WEB配信)

特別講演
「天気痛のメカニズムと対策」 演者:佐藤 純
気象の影響を受ける病気や症状は多く知られており、総称して「気象病」という。なかで も、筆者の専門である慢性痛は天気の変化で症状が悪化することが多く、このような病態を 「気象関連痛」あるいは「天気痛」と呼んでいる。愛知医科大学・疼痛医学講座が行ったア ンケート調査(回答数 2,628 名)によれば、3ヶ月以上続く慢性の痛みがある人が成人全体 の 39.3%であり、その約 25%が「天気が悪いとき、崩れるときに痛みが悪化する」と答え、 47%が「寒いときに痛みが悪化する」と答えている。このように多くの人が天気痛を持ってい るが、近年は異常気象が頻発し、現代人の自律神経が環境ストレスに対して脆弱になって いる可能性も高いため、今後も罹患者数がさらに増えていくことが予想される。しかしなが ら、天気痛のメカニズムには不明な点も多く、効果的な治療法も確立されていないことから、 対応に苦慮している臨床家も多いと思われる。そこで本講演では,天気痛の特徴,メカニ ズム,有効な治療法・対処法について,この病態に長年取り組んできた講演者の知見を述 べることで、一助としたい